講 義 概 要 「就職が決まれば、あなたの仕事生活は一生安泰だと思いますか?」現在この問に“Yes”と答える人はほとんどいないであろう。しかし、「では、どうしますか?」という再度の問に明確な答えを持ち合わせている人もまたほとんどいないのではないだろうか。いたずらに諸君の不安を煽るつもりはまったくないが、今後40年以上に渡る「仕事生活」の入り口の手前にいる今だからこそ、働くことについて一度じっくり考えてみるべきだと思う。 本講義では今日の人的資源管理システムやその問題について、まず、その概念、歴史的展開、今日的課題等を検討する。その上で、ヒューマングループ毎(女性労働者、非正規労働者、高齢者、技術者・専門職)に分けて論じていく。 ヒトを管理する方法(これが、人的資源管理)と同時に、管理のされ方(これは自分の働き方につながります)も学ぶことにより、みなさんがこれからの働き方、生き方について考えることの助けとなるようなものにしたいと考えている。 毎回課題を設定し、それについての意見をマイクを回して聞いたりしながら、双方向的な授業を行うことを目指している。それは、考えること、意見を交換しあうこと、そして自分自身の考え方を構築することを重視しているからである。したがって、受講者は発言の義務があると理解した上で受講することが必要となる。 到 達 目 標 人的資源管理の概念、専門用語の理解。 日本の雇用、労働をめぐることがらの歴史的事実の認識。 働くことに関する最低限の法的知識の修得。 自分の働き方を考え、キャリアをデザインすること。 「考えてくる課題」(講義時に説明する)に対して、自分なりの考えを確立し、意見を述べられるようにすること。 授業手法 / Teaching Methods ・教員による資料等を用いた説明や課題等へのフィードバック ・学生同士の意見交換(グループ・ペアワーク、ディスカッション、ディベート等含む) 授 業 計 画 第1回 1.人的資源管理論1を学ぶにあたり | 第2回 2.人的資源管理とは | (1)人を管理するとは | 第3回 2. (2)組織は人をどのように捉えるのか | 第4回 3.人的資源管理パラダイムの変化 | (1)年功的労務管理とは | 第5回 3.(2)年功的労務管理の終焉? | 第6・7回 4.ヒューマングループと人的資源管理 | (1)女性労働者 〜 仕事で性差をなぜ気にするの? | 第8・9回 4. (2)非正規労働者 〜 「多様な働き方」、それとも「多様な働かされ方」? | 第10回 ゲストスピーカーのご講演(予定) | 第11・12回 4. (3)高齢者 〜 定年は本当に必要? | 第13回 DVD:「どうすれば人は動くか」を考える | 第14回 4. (4)技術者・専門職〜 やりたい仕事ができれば所属組織は問わない? | 第15回 予備日 | (開講時に、確定したより詳細な授業計画を配布する。) | 授業時間外学習 / Expected work outside of class | 普段から新聞、雑誌、街歩き、自分とは違う世代との会話等を通じて、社会の変化、特に企業や雇用をめぐる状況に目を配っておくこと。 |
評 価 方 法 定期試験(筆記試験)の成績と平常成績で総合評価する。 期末試験(60%)、LMSを通じた課題テスト(30%)、授業時ミニ・レポート(10%) 基準・評価 / Evaluation Criteria・Assessment Policy 到達目標の達成がなされていると判断できる水準。 授業の方法 対面 オフィスアワー LMSまたはメール( morita@kansai-u.ac.jp ) 教 科 書 上林 憲雄・厨子 直之・森田 雅也 『経験から学ぶ人的資源管理〔第3版〕』 有斐閣, 2025年。 適宜プリントも配布する。 参 考 書 上林憲雄・平野光俊・森田雅也 編 『現代 人的資源管理』 中央経済社, 2014年。 上林 憲雄・奥林 康司・團 泰雄・開本 浩矢・森田 雅也・竹林 明・中村志保 『経験から学ぶ経営学入門〔第3版〕』 有斐閣, 2025年。 森田 雅也 『チーム作業方式の展開』 千倉書房, 2008年。 ブラットン, J., ゴールド, J. 著、上林・原口・三崎・森田 監訳 『人的資源管理』 文眞堂, 2009年。 その他については講義時配付資料で適時指示する。 備 考 講義概要に書いたとおり、マイクを通じて自分の意見を表明することを受講者の責務としているので、受け身ではなく、積極的に参加する意志を持って臨んでもらいたい。 これまで同様、企業の人事担当者のご講演とDVDを見て考える授業1コマを取り入れていく予定にしている。ただし、ご講演は取り入れられない場合もある点は了解の上で履修してほしい。 制度に着目して検討を行う「人的資源管理論2」も受講することが望ましい。 |