講 義 概 要 この授業では異文化コミュニケーションを、異なる文化を背景とした人々の間の意思疎通やその伝達手段という狭義に限定せず、異文化理解の学といわれる文化人類学的な視点を採り入れて、他者の文化を理解する上で役立つさまざまなものの見方や捉え方を紹介する。日本人にとっての異文化、欧米諸国から見たアジア・アフリカへのまなざしとしてのオリエンタリズム、また、近年増加傾向にある外国人観光客や日本に定住する外国出身者と日本人との間に生じる異文化摩擦など、さまざまな問題例を幅広く採り上げて紹介し、問題解決につながる視点を提案し、異文化との共存共栄方法について受講者とともに考えていく。 到 達 目 標 1.異文化に対する知識を増やし、それらを説明できるようになる。 2.異文化理解の難しさについて知り、その解決方法を自ら考え、実践できるようになる判断力を待つ。 3.異文化間の摩擦や対立についての知識を得て、その原因や背景について説明できるようになる。 4.異文化との共存・共栄を目指す取り組みや政策についての知識を得て、自らも多文化共存・共生の方法を考察し、それを言葉で説明できるようになる。 授 業 計 画 【第1回】 | テーマ イントロダクション | 内容・方法 授業の紹介、自身の異文化体験の紹介 | 【第2回】 | テーマ 誤解と理解、異文化理解の難しさについて | 内容・方法 誤解と理解、異文化理解の難しさについて | 【第3回】 | テーマ 異文化接触とストレス、カルチャーショック、ステレオタイプ化 | 内容・方法 異文化接触とストレス、カルチャーショックについて、異文化のステレオタイプ化の問題点 | 【第4回】 | テーマ 人種、民族、国民 | 内容・方法 人種概念と民族、国民、その違いについて | 【第5回】 | テーマ 欧米人のまなざしと人種差別、オリエンタリズム | 内容・方法 欧米人のまなざしとしてのオリエンタリズム、人種差別について | 【第6回】 | テーマ 差別と偏見(1) | 内容・方法 アメリカにおける人種差別とその歴史について | 【第7回】 | テーマ 多民族状況における差別、同化と差異化 | 内容・方法 多民族状況における差別と同化と差異化についての説明 | 【第8回】 | テーマ 差別と偏見(2) | 内容・方法 人種、民族差別と文化の盗用について | 【第9回】 | テーマ 異民族との共存とコンフリクト | 内容・方法 コンタクトゾーンにおける異民族との共存とコンフリクトについて | 【第10回】 | テーマ 人の移動による多民族化現象 | 内容・方法 人の移動による多民族化現象とそれに伴う問題 | 【第11回】 | テーマ 異文化の風習について | 内容・方法 さまざまな異文化に見られる特異な風習について | 【第12回】 | テーマ 異文化間の相互理解と共存 | 内容・方法 異文化間での相互理解や偏見の克服、多文化共生について | 【第13回】 | テーマ 多文化共存を妨げる国際情勢 | 内容・方法 近現代の国際紛争と多文化共生をめぐる課題について | 【第14回】 | テーマ 多様性が全人類にもたらす利点 | 内容・方法 異文化との共存や多様性を認めることの人類全体にとっての利点の解説 | 【第15回】 | テーマ 講義のまとめとふりかえり | 内容・方法 第14回目までの授業で学んだことについてのまとめとふりかえりの概説 |
評 価 方 法 ●全ての授業に出席し、所定の学修をすることが単位修得の前提条件となる。 ●必要最低限の授業学修が確保できていないとみなした場合は、「K」評価とする。 ---------- 以下に示す評価方法により総合的に判定のうえ、60 点以上を合格とし、所定の単位を認定する。公欠や公共交通機関の運行停止など本人の責に帰せない事情、客観的なエビデンスを提示できる病気や怪我、または特別配慮願の対象として配慮が必要な場合等を除き、特段の理由なく欠席が全授業中6回以上に上る受講者は「K」評価とする。前記の諸事情のどれにも該当しない場合の遅刻も2回で1回の欠席相当と見なすため注意すること。授業に出席のみして、毎回の授業時に出される理解度をはかるための課題が提出されない場合は、その回の評価に係る得点を0点とし、ユニパ上の出席記録も取り消され欠席扱いとする。出席と課題提出の両方が揃ってその回の評価点を得ることができる。また、対面授業であるため、欠席した回には課題のみを提出することは認めない。仮に提出しても無効となり0点扱いとなるため注意すること。
【授業内での評価】90% 毎回の授業時に内容の理解度をはかるための課題を提出してもらうことによる評価(1回につき、正解数に応じて0〜6点×15回=90点満点)。授業時間内に解答しきれない場合はその日のうちにクラスルームでの掲示で提出してもらうこともある。私語や居眠り、授業と関係の無いことに従事するなど受講態度に問題が見られる場合は、警告回数ごとに1点ずつ、その回の最高点6点から減点されることがあり得るため注意すること。
【定期試験に代わるレポート等】10% 15回の全授業終了後に期限までに提出するレポート等課題 授業の方法 対面 教 科 書 テキストを使用しない。 参 考 書 『よくわかる異文化コミュニケーション』(やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ) 池田理知子編著 ミネルヴァ書房 2010年、『グローバルな時代を生きるための異文化理解入門』 原沢伊都夫著 研究社 2013年。この他は、多岐にわたるため、必要に応じて授業の中で紹介する。 備 考 毎授業時に出す理解度を確認するための課題については、次週の授業の始めに正解を示すなどしてフィードバックを行う。 1年次配当のBYOD対象科目であるため、2年次以上の受講生にも、原則としてスマホではなく、大学推奨以上のスペックを備えたPCを毎回持参しての受講が必要となる。この基準に合致したデバイスで受講しない場合の不利は自己責任とする。受講に際してのPCの設定等の技術的なサポートは本科目内ではおこなわないため、アドバイスは教務課もしくは情報システム室に求めること。ほぼ毎回授業時にはパワーポイントでの資料を提示しながら説明を行う予定であるが、スクリーンが見にくい場合は自身のPC画面で同じ内容を見ながら説明を聴いてもらう。そのためにPCの持参が必要である。受講者には異文化や世界各地の民族問題に積極的な関心を持つことが期待される。世界中の民族や移民、人種差別に関する状況など、日ごろから時事問題にも目を向けて情報収集に努めることが望ましい。また、異文化や民族間の対立の基礎にある歴史に関する知識も必要である。高校までに学習した世界史と世界の地理に関する内容を復習して受講すること。この科目で身につけた視点をより具体的な知見と結びつけるため、「アジアの歴史と文化」(後期)も併せて履修することを勧める。また、日本語を母語としない受講生の場合、N1相当以上の日本語力がないと理解できない授業内容であるため、その水準に達していない状態で受講すると単位を落とす危険がある。 |