講 義 概 要 中国ムスリム(漢語を話すムスリム)の歴史・思想史について講義する。とくに、中国社会のマイノリティである彼らが、如何にしてイスラームの信仰・実践を中国的環境と調和させつつ、マジョリティの非ムスリム漢人と共存し、生き残ってきたか、という問題に焦点をあてる。この問題の考察を通じて、イスラームの「中国化」や「アラブ化」といった概念、「中国的」や「イスラーム的」といったカテゴリーについて再考する。 到 達 目 標 ①知識・技能の観点 中国ムスリムやイスラームについての知識を深めながら、異文化共生をめぐる視野を開拓する。 ②思考力・判断力・表現力等の能力の観点 「常識」や既存のカテゴリーを問い直す力、証拠にもとづいて論理的に考える力を鍛える。 ③主体的な態度の観点 国際化・多文化化が進み、移民の受け入れが取り沙汰される日本の現実・将来の諸問題を自らの課題として引き受けながら、それらを歴史に取材して創造的に考察・議論する態度を養う。 授業手法 / Teaching Methods ・教員による資料等を用いた説明や課題等へのフィードバック 授 業 計 画 ※講義資料は、各回の数日前までに関大LMSに掲載します。 | | 1. 中国ムスリムとは誰か | 2. 中国ムスリムの形成(7~16世紀) | 3. 17-19世紀の中国イスラーム概観 | 4. 17-19世紀の中国ムスリムとイスラーム法学 | 5. 17-19世紀の中国ムスリムとスーフィズム | 6. 17-19世紀の中国ムスリムとスーフィー教団 | 7. 清代中国のムスリム反乱 | 8. 漢語イスラーム文献におけるイスラームの「中国化」再考 | 9. 漢語イスラーム文献とイブン・アラビー(1240年没)の「存在一性論」 | 10. 漢語イスラーム文献におけるアラビア語・ペルシア語イスラーム文献翻訳の実際 | 11. 中国ムスリムとペルシア語文化圏 | 12. 19世紀の中国ムスリムにおけるアラビア語文化圏への接近 | 13. 19世紀の中国ムスリムにおける「アラビア化」再考 | 14. 中国ムスリムの重層的で柔軟なアイデンティティ | 15. まとめ | 授業時間外学習 / Expected work outside of class | 紹介された参考文献を読む |
評 価 方 法 定期試験を行わず、平常試験(小テスト・レポート等)で総合評価する。 定期的に課すリアクション・ペーパーや小テスト(60%) レポート(40%) 基準・評価 / Evaluation Criteria・Assessment Policy ①知識・技能の観点 授業内容が理解できているかどうか。 ②思考力・判断力・表現力等の能力の観点 批判的な思考を論理的に表現することができているかどうか。 ③主体的な態度の観点 現代的・普遍的な問題を意識しつつ、創造的な議論ができているかどうか。 授業の方法 対面 オフィスアワー オフィスアワー(非常勤のため授業の前後に対応する) 参 考 書 中西竜也、増田知之 よくわかる中国史 ミネルヴァ書房 9784623091966 中国ムスリム研究会 中国のムスリムを知るための60章 明石書店 9784750336459 大塚和夫ほか 岩波イスラーム辞典 岩波書店 9784000802017 中西竜也 中華と対話するイスラーム――17-19世紀中国ムスリムの思想的営為 京都大学学術出版会 9784876982738 『よくわかる中国史』:中国史の全体的な流れをおさえつつ、その中で中国ムスリムがどのような歴史を歩んできたかの概要を知ることができる。 『中国のムスリムを知るための60章』:中国ムスリムの歴史や文化に関するやや詳しい情報を得ることができる。 『岩波イスラーム辞典』:イスラームに関する様々な知識を得ることができる。 『中華と対話するイスラーム』:中国ムスリム思想史に関する本格的な研究書。 その他の参考文献は、授業中に適宜紹介する。 備 考 授業の初めに前回のリアクションペーパーにたいしてコメントする。 小テストについては、授業時間内に解答を示す。 中国史やイスラーム世界史、ならびにイスラームという宗教について、ある程度予習しておくことが望ましい。 |