講 義 概 要 毎回、テーマを決めてスライドを用いながら講義します。出席は授業後にLMSを通じた「振り返り(800字〜2000字程度)」を提出することで確定します。 春学期の内容は、中国史をメインに、外国人労働者の増加による日本社会の変化を見据えて、その上位国の近現代史を概観する内容を盛り込みます。メインの中国史では、秦の始皇帝以来続く皇帝独裁体制について、郡県制・官僚制の実像を概説します。後半からは、近代からの中国史を時系列順に解説し、日中間にある現代史の知識量を埋めながら、近現代史の解釈で見られるバイアスについて、実例を挙げながら批判的思考や多角的視点の必要性を解説します。 全体の目標として、まずは「歴史は暗記ものではない」と受講生の認識を改めたいと思います。 *履修生からの一言 日本史・東洋史に少しでも興味がある人は、受講を勧めたい。中国史の知識がないと少し理解が難しいが、新たな知見や新鮮な気づきが得られる。そして、中国史ひいては歴史に対する解像度が上がることで、気づいた頃には中国史に惹かれている自分がいるだろう。ただし、楽単科目ではない。(文学部1回生) この授業は、何よりも授業に関連したことや他の授業で学んだことをつなげて考えることができたため、現代の国際政治を学んでいる私にとっては、歴史という背景の重要さが分かったすごく有意義で面白かった授業です。2回生以上の人にもオススメです。(政策創造学部2回生) この授業は世界史や日本史といった括りではなく、「歴史」を学ことができる。受験勉強のためだけに学んでいた自分にとって、とても刺激的な内容でした。中国史を高校世界史より高いレベルで学びたい人には最適な内容であると感じます。これをきっかけに図書館へ行く習慣もできました…笑。基礎的な知識を踏まえた上で受けないと難しいと思うが、学べることや驚きは他の講義と比べたら非常に大きかった。(文学部1回生3人) 到 達 目 標 ①知識・技能の観点 日本史または世界史だけの基礎知識が授業によって補われ、多角的にものを見ることの必要性を、実感とともに認識し定着できる。 ②思考力・判断力・表現力等の能力の観点 アジア史に関する認識の重要性を理解し、日本との関係の中で自己意見の形成ができるようになる。 毎回の振り返りやスライド課題を提出することによって、根拠に基づいた筋道の通った意見を、分かりやすく他人に伝える力がつく。 ③主体的な態度の観点 「この事柄はこういうものだ」という外から貼り付けるような理解から、「なぜそうなのか?」→「なるほど」という納得を得たくなる思考に変わっていく。 授業手法 / Teaching Methods ・教員による資料等を用いた説明や課題等へのフィードバック ・学生による学習のふりかえり ・課題として、8分間のプレゼンを想定したスライド6枚の作成を課します。口頭発表は行いませんが、優秀作品の講評を行い、各自の提出作品について振り返りの活動を行ってもらいます。 授 業 計 画 第1回 授業ガイダンス、ミニ講義「歴史は暗記ものではない!」…なぜ歴史を学ぶのか?私の答えはこの4つです。 | 第2回 21世紀の日本人に求められる歴史教養…日本社会のグローバル化とは、東南アジアからの外国人労働者との共生社会です。「日本史しか学んでこなかった、世界史で東南アジアはやっていない」という現状を、大学で少しでも補いたいと思います。 | 第3回 台湾と朝鮮の戦後史…一党独裁体制は中国だけではなかったのです。 | 第4回 ドイモイというベトナム共産党の英断…ベトナム戦争後の苦悩 | 第5回 政党が機能しないフィリピンの民主主義…教えられていない太平洋戦争での激戦地 | 第6回 教科書に記載がない国からの外国人労働者…ネパールカレー屋が増えたと思いませんか? | 第7回 中国との関係は好きも嫌いもありません…広い領域を統治する2つの方法 | 第8回 皇帝独裁体制の実態とは…郡県制で貫かれた2000年 | 第9回 科挙官僚は行政実務ができたのか?…中国官僚制の二重構造 | 第10回 中華民国時代は第四の混乱期…科挙を廃止することの意味 | 第11回 外から見る日中戦争は知らない事ばかり…南京事件、国民党のドイツ軍事顧問団、満州事変に対するソ連の見方など | 第12回 国家建設が遅れた中国の30年…毛沢東の失政 | 第13回 天安門事件ー鄧小平の選択…中国の教科書記述について | 第14回 格差社会を是認した25年間…江沢民時代が強国化のスタート | 第15回 プレゼン課題の講評 | 授業時間外学習 / Expected work outside of class | LMSで毎回事前資料を配信します。それを読んで、テーマに関する時代の概観を、世界史の教科書または概説書の拾い読みで予習してもらうと授業理解が進みます。 | 授業後には、各自のメモを整理しながら深掘りしたくなった事項の後追い調べをすることで、授業をきっかけとした学びが深まります。予習30分+後追い学習90分の見当です。 | *履修者からの一言 | 授業のどこがどう面白かったのか、それについてどう考えたのかなど、自分の考えを文章化することが求められるので、授業時間外の学習で苦労する人もいるかと思うが、根拠を持って意見を書く活動を通して言語化能力が鍛えられたと感じる。(文学部4回生) |
評 価 方 法 定期試験を行わず、平常試験(小テスト・レポート等)で総合評価する。 毎回の授業の「振り返り(LMSでの提出)」が70%。スライド作成課題で30%。 「振り返り」では、授業を受けてどのような考えや意見が生まれたのか、何が面白いと思ったのか(新しい発見があったのか)など、頭の中の化学変化を分かりやすく具体的に記して下さい。単に授業内容のまとめを書いても意見がなければ0点です。 スライド課題は、起承転結の論理性(話の筋道が通っているか)とテーマの意欲・ユニークさ、聴衆の理解を考えた工夫などを評価ポイントにして採点します。これを提出しない学生は単位を取っていません。 基準・評価 / Evaluation Criteria・Assessment Policy ①知識・技能の観点 毎回の振り返りの文章で、授業内容の理解度と授業のポイントを把握しているかを判断します。授業のポイントを外さないようにコメントして下さい。 ②思考力・判断力・表現力等の能力の観点 スライド作成課題の出来映えで判断します。説明したいことが、論理的な流れとなっているのか、聴く側の立場に立って画面が作られているのか、参考にした史資料を批判的に活用できているのか等を、評価の観点とします。 また、毎回の振り返りでの各自の意見が、根拠に基づいて簡潔に記されているかも評価します。 ③主体的な態度の観点 振り返りに後追い調べの成果が記されているかを加点要素とします。また、スライド作成において意欲的またはユニークな視点でテーマを選んでいるか(単なる概説ではない)も評価対象とします。 授業の方法 対面 オフィスアワー オフィスアワー 毎回の授業後に時間が取れます。 その他 LMSのメッセージ機能を使って、自由に発言を送って下さい。 教 科 書 特に指定はしません。 参 考 書 授業で適宜、紹介します。 備 考 毎回の振り返りを採点し、次の授業時に主要なポイントやユニークな視点のものなどを選んで、短時間コメントします。 *履修者からの一言 プレゼン課題のスライドは、正直忙しくてあまり詳しく見て評価してくれないのではないかと思っていたが、何をすればもっと良くなるのか、優秀作品の講評を自分のものと比較しながら聞けた。(文学部2回生) この課題は、資料を作る練習にもなり、完成度に応じて丁寧に評価してもらえるのは、とてもいい経験になる。(文学部1回生)
休講が出る場合の補講は、授業録画を視聴して振り返りを提出する形式になりますので、LMSでその都度リンク先をアップします。 |