講 義 概 要 グローバル化が進む現代にあっては、相手の思想や文化について、それらを偏見なく理解できる受容性と協調性を身に着け、また、みずからの思想や文化について、それらを正しく理解して相手に伝えられる教養を身に着けることが求められる。この授業では、日本思想のルーツや歴史や特徴、また、他の思想や文化との親和性や相違性について、それらを実際の国際交流の現場で相手に説得力をもって伝えるための基礎的かつ応用的な知識を提供する。 古来より日本人は世界中の思想や文化を、みずからの精神性、価値意識、美意識に沿った仕方から受容し、彫琢し、日本思想へと仕立て上げてきた。日本思想は、こうした日本固有の精神性、価値意識、美意識を基礎地盤に有し、一方で、神道、儒学、仏教、老荘思想といった東アジア地域に根ざした宗教や哲学思想を柱として、立体的に構築されている。 この授業では日本思想の地盤と柱をなすこれら両者に目配りして、両者が日本思想をどのように構築しているかという観点から考察してゆく。具体的には、「自然は慈母であると同時に厳父」、「おもいやり、助けあいは道徳の基本」といったフレーズから出発して、普段何気なく口にするこうしたフレーズにも、そこに日本思想の地盤をなす精神性、価値意識、美意識からの反映があり、また神道、儒学、仏教、老荘思想などとも確かな関連性を有していることを確認する。続けて、関連する文学作品や美術作品などの資料を閲覧して、日本思想が日本人の生活や物の見方に根付いている実際の様子について学習してゆく。 到 達 目 標 ①知識・技能の観点 日本思想のルーツや歴史や特徴、美意識などについて基礎的な理解が得られる。 ②思考力・判断力・表現力等の能力の観点 日本の宗教や思想を見ることを通じて、世界中の宗教や思想を理解するための公平な知識が得られる。 ③主体的な態度の観点 日本思想を国際交流の現場で相手に説得力をもって伝えられるようになる。 授業手法 / Teaching Methods ・教員による資料等を用いた説明や課題等へのフィードバック ・学生による学習のふりかえり 授 業 計 画 第1回 導入。 | 第2回 日本思想の生命観と死生観。 | 第3回 災害の事例から見る日本思想の生命観 | 第4回 古典から見る日本思想の生命観 | 第5回 日本思想における自然観1(和辻哲郎) | 第6回 日本思想における自然観2(寺田寅彦) | 第7回 鈴木大拙の紹介 | 第8回 鈴木大拙が語る日本思想における自然観(鈴木大拙) | 第9回 機械を使うと機心に支配されてしまう(鈴木大拙) | 第10回 人間の自然の回復(鈴木大拙) | 第11回 詩の心が現代人を救う(鈴木大拙) | 第12回 西田天香が語る自然(西田天香) | 第13回 柳宗悦の民藝運動(柳宗悦) | 第14回 人間の自然と機械の自然の共存(鈴木大拙) | 第15回 総括 | 授業時間外学習 / Expected work outside of class | 授業資料、教科書、ノートを読み返し、授業内容の理解に努めるよう復習をすること。 |
評 価 方 法 定期試験を行わず、平常試験(小テスト・レポート等)で総合評価する。 レポートと平常成績との配分は、80%(レポート)と20%(平常成績:主体的な授業参加)とする。 基準・評価 / Evaluation Criteria・Assessment Policy 主体的な授業参加の測定は、授業の内容理解の測定によって行う。 授業の方法 対面 オフィスアワー 関大LMSの「メッセージ」機能を使って連絡して下さい。 教 科 書 本講義では多彩な資料を教材として扱う。それら資料は授業中に配布する。 参 考 書 参考文献については適宜紹介する |