講 義 概 要 この授業のテーマは、「モンゴル近現代史」である。受講者は、清朝治下の内外モンゴル地域で独立運動が発生するに至る歴史的な要因と独立成功への条件、またロシアと中国とに挟まれた状況下で苦しみつつも民主国家を形成することができたその過程などを学ぶ。 到 達 目 標 ①知識・技能の観点 危機的状況を迎えた一つの民族が近代国家を形成するに至る際の歴史的な苦しみと超人的な努力とを深く理解できるようになることを目標とする。 ②思考力・判断力・表現力等の能力の観点 同じ様に危機的状況を迎えていた世界各地の諸民族の事例と比較検討することや、中国、ロシア、日本といった周辺諸大国による政策を深く理解していくことによって、各地域・各民族がおかれた状況の差異、成功と失敗との分かれ目など、人類史上の大問題へとつながる分岐点を発見することができるはずである。また最終試験において、それら複雑な諸条件を自らの論理と文章力によって正確に表現していく能力を養うことも目標となる。
③主体的な態度の観点 大部分の受講者が日本人であると思われるので、モンゴル近現代史自体が日本と深い関わりを持っていることを学び取り、自分たちの民族・国家の歴史との深いつながりを再認識していくことができれば、この授業を受講した価値が生まれるであろう。参考文献も大量に紹介していきたい。 授業手法 / Teaching Methods ・教員による資料等を用いた説明や課題等へのフィードバック ・学生による学習のふりかえり ・学生同士の意見交換(グループ 授 業 計 画 第1回:清王朝の形成と盟旗制度下のモンゴル | 第2回:中国本土での人口爆発に伴う漢人農民の北方移住 | 第3回:ロシア帝国の南下とシベリア鉄道の敷設 | 第4回:清朝の変容と対モンゴル政策の変遷 | 第5回:モンゴル民族の危機;帰化城トゥメト旗の事例 | 第6回:ジョーウダ盟・ジョスト盟での「金丹道事件」 | 第7回:ジリム盟での抗墾運動 | 第8回:グンサンノロブ郡王による改革の意味 | 第9回:トクトホ、バボージャプらの苦闘と日本による満蒙独立運動 | 第10回:ハイサン、アルマスオチルによる独立運動の開始 | 第11回:ボグドハーン政権による独立とその喪失 | 第12回:徐樹錚軍乱入・モンゴル人民党結成・ウンゲルン男爵軍乱入 | 第13回:モンゴル革命とコミンテルンの干渉 | 第14回:満州国・蒙古聯合自治政府治下における独立運動と1945-1947年の内外モンゴル | 第15回:最終テスト | 授業時間外学習 / Expected work outside of class | 参考文献の自由な読解(義務ではない) |
評 価 方 法 定期試験を行わず、到達度の確認(筆記による学力確認)と平常成績で総合評価する。 受講態度(質疑応答を含む)(20%)、最終テスト(80%)履修者数が多数になった場合には、成績評価方法を「定期試験(16週目)」に変更することがあります。 成績評価方法が変更になった場合は、インフォメーションシステム等で連絡します。 基準・評価 / Evaluation Criteria・Assessment Policy ①知識・技能の観点 設問に対して充分な詳しさと正確さを持つ文章で解答できているかどうか。簡略すぎる答案は、評価できない。 ②思考力・判断力・表現力等の能力の観点 これまでに学んできた世界史や日本史の授業、また他の歴史学の授業で得た知識等々を総動員して、どの程度深い独自の考察が加えられているかをも評価する。 ③主体的な態度の観点 参考文献としてあげた書籍の中から、自ら選んで読んできた書籍を利用できているかどうかも評価したい。ただし、これは義務ではない。 授業の方法 対面 オフィスアワー その他 メールで問い合わせ可能 hagihara@kobe-u.ac.jp 参 考 書 ボルジギン・ブレンサイン編著 内モンゴルを知るための60章 明石書店 978-4-7503-4223-8 麻田雅文 満蒙 日露中の「最前線」 講談社 978-4-06-258583-5 楊海英 日本陸軍とモンゴル 中央公論社 9784121023483 備 考 いつでも自由に質問を受けつけることとし、質面への回答は、授業中に極力全受講者に向けて回答したい。 |