講 義 概 要 メディアにおける表現と表象の問題を扱う。 メディアにおける表象は、メディアを発信する側(表現する側)の「視点」を色濃く反映する一方で、その受容のされ方においては、受け手の読みや社会の価値観をも映し出す。この講義では、さまざまなメディア表現(主に映像)を事例に挙げて、ある事象がメディアに切り取られて表象されるということはどのような意味をもつのかについて、考えていく。 具体的には、異文化の表象に焦点をあて、これらの表象がどのような歴史的・社会的経緯の中で立ち現れてきたのかも含めて考え、分析する。 事象そのものは具体的でも、抽象的な理論や概念を使用して講義するので、そのつもりでいてほしい。また、授業では受講者にもしばしば分析や読み解きの作業をしてもらうので、積極的な受講態度が求められる。 到 達 目 標 本講義の達成目標は、以下の①〜③である。単に知識を得ることよりも、新たな「視点」や「考え方」を身につけることを目指してほしい。 ①表象の生成・伝達・受容の関係構造を理解する。 ②異文化の表象を考える際に重要な概念を理解する。 ③異文化に対するまなざしや、異文化を語ること/語られることの権力作用について理解する。 授業手法 / Teaching Methods ・教員による資料等を用いた説明や課題等へのフィードバック ・学生同士の意見交換(グループ・ペアワーク、ディスカッション、ディベート等含む) 授 業 計 画 【講義計画(予定)】 | ※ガイダンスで最終的な講義計画を提示する。 | | 第01週 ガイダンス | 第02週 日本文化と表象(1)オリエンタリズムの2つの系譜 | 第03週 日本文化と表象(2)「異文化」の表象装置 | 第04週 日本文化と表象(3)ジャポニズム(近代) | 第05週 日本文化と表象(4)ジャポニズム(近代~現代) | 第06週 日本文化と表象(5)セルフ・オリエンタリズム | 第07週 日本文化と表象(6)「新しい」オリエンタリズム | 第08週 異文化と表象(1)プリミティヴィズム(先住民へのまなざし) | 第09週 異文化と表象(2)プリミティヴィズム(先住民の表象) | 第10週 異文化と表象(3)多文化主義の時代 | 第11週 異文化と表象(4)多文化主義の系譜 | 第12週 異文化と表象(5)21世紀の異文化表象(前半) | 第13週 異文化と表象(6)21世紀の異文化表象(後半) | 第14週 まとめ:表現と表象 | 第15週「到達度の確認」 ※ただし、履修者数等を勘案して「定期試験」に変更する場合もあり得る。 | 授業時間外学習 / Expected work outside of class | 時間の制約上、授業内では作品の抜粋をみることになるため、できれば受講後に作品を最初から最後まで通してみることを薦めます。 |
評 価 方 法 定期試験を行わず、到達度の確認(筆記による学力確認)と平常成績で総合評価する。 到達度の確認(筆記による学力確認)60%、授業コメント40% なお、履修者数等を勘案して「定期試験」に変更する場合もあり得る。履修者数が多数になった場合には、成績評価方法を「定期試験(16週目)」に変更することがあります。 成績評価方法が変更になった場合は、インフォメーションシステム等で連絡します。 基準・評価 / Evaluation Criteria・Assessment Policy 論述問題により、上記の達成目標①〜③についてチェックし、評価する。論理的な記述ができることを求めます。 授業の方法 対面 オフィスアワー 授業中の質問や発言を歓迎します。また、質問や相談は、なるべく直接聞いてください。授業時間外であれば、下記までメールをくだされば必ず返信します。学籍番号と名前忘れないように明記してください。 mmurata@kansai-u.ac.jp 教 科 書 使用しない。必要な資料は適宜プリントで配布する 参 考 書 エドワード・W・サイード(著)板垣雄三・杉田英明(監督)今沢紀子(訳) 『オリエンタリズム』 平凡社、1986年 ジョン アーリ, ヨーナス ラースン(著)加太宏邦(訳) 『観光のまなざし』(増補改訂版) 法政大学出版会、2014年 吉見俊哉 『博覧会の政治学』 中央公論社、1992年。 パトリシア・モルトン(著)、長谷川章(訳) 『パリ植民地博覧会--オリエンタリズムの欲望と表象』 ブリュッケ、2002年 吉田憲司 『文化の「発見」――驚異の部屋からヴァーチャル・ミュージアムまで』 岩波書店、1999年。 ジェイムズ・クリフォード(著)太田 好信ほか(訳) 『文化の窮状――二十世紀の民族誌、文学、芸術』 月曜社、2003年。 |