講 義 概 要 人は社会的存在といわれるように、われわれは社会生活を営むうえで何らかの形で他者とのかかわりを築く必要がある。一方で、人と人とのかかわりのあり方は、いつでもどこでも不変であるわけではなく、時代や文化や社会状況によってめまぐるしく変化するものである。本講義では、そうした他者との共生の様態に焦点をあて、自己・家族・友人・職場・地域などにおける現代的な変容と問題について社会学的に概説する。 到 達 目 標 1.現代の共生(自己と他者のかかわり)における問題を理解できる。 2.自分の立場や視点から身近な他者とのかかわりを実感し、捉えなおすことができる。 3.より多様な人と人とのかかわりかたの可能性を考え、説明できる。 授 業 計 画 第1回 イントロダクション—共生社会の現在 | 第2回 時代背景をおさえる—社会と意識の変化 | 本授業の時代設定を押さえたうえで、意識調査から対人関係観の変化と現代的問題を解説する | 第3回 自己と他者 | 社会学における自己と他者の捉え方を概観し、自己と向き合うための対策を解説する | 第4回 新たな家族—非血縁のつながり | ポスト平成における家族関係の変化と問題を理解し、家族を再考する必要性を解説する | 第5回 純粋化する友人関係 | ギデンズの「純粋な関係性」をもとに、現代の友人とのかかわりの性質と変容について解説する | 第6回 高齢者の孤立 | 無縁社会の現状を把握し、超高齢社会における問題について解説する | 第7回 匿名的なかかわり | メディアの発達が達成する匿名性の問題を信頼関係という観点から解説する | 第8回 単身化とソロ行動 | ソロ活動の流行を概観し、現代社会における「一人でいること」の意味を考察する | 第9回 ボランティアとコミュニティ | ボランティア活動への参与や支援行為と日本的コミュニティのかかわりを解説する | 第10回 コミュニケーション能力を問い直す | 現代の能力言説の内容を踏まえ、個人に責任を期す社会のあり方と問題を解説する | 第11回 サードプレイスとは何か | サードプレイスの概念や実践を概観し、サードプレイスのもつ可能性を解説する | 第12回 新たな居場所実践―地域の居場所 | 子ども食堂・地域カフェ・学校内居場所などの具体的なサードプレイス実践から居場所の重要性を解説する | 第13回 一時的居場所のもつ現代的意義 | 他者とのかかわりを生み出す居場所論を概観し、一時的・流動的な居場所の在り方からそれらを再評価する | 第14回 強いつながりからゆるやかなつながりへ | 後期近代における人と人とのかかわりの変化とこれからの個人と社会の関係を解説する | 第15回 まとめーこれからの社会を生きるために | | 受講生の理解度や関心、進捗状況によって内容を変更することもありうる |
評 価 方 法 ●全ての授業に出席し、所定の学修をすることが単位修得の前提条件となる。 ●必要最低限の授業学修が確保できていないとみなした場合は、「K」評価とする。 ---------- 以下に示す評価方法により総合的に判定のうえ、60点以上を合格とし、所定の単位を認定する。
授業内での評価:40%(コメントペーパー) 授業外での評価:20%(探索課題) 定期試験に代わるレポート等:40%(期末レポート) 授業の方法 対面 教 科 書 テキストを使用しない 参 考 書 必要に応じて授業の中で紹介する 備 考 授業冒頭にコメントペーパーをフィードバックする 社会学やコミュニケーションに関連している科目を受講していることが望ましいが、身近な人と人とのかかわりに関して問題関心をもって授業に臨むことが何より重要である。 |