特定非営利活動法人 大学コンソーシアム大阪 
The Consortium of Universities in Osaka

2025年度シラバス

募集終了

Web出願登録締切

3/24

出願票提出締切

3/26

科目番号

I25005

科目名

農学概論

科目開設大学名

大阪公立大学

英文科目名

Introduction to Agricultural Sciences

配当学年

1年

単位数

2

募集定員

5名

年間日程

年間日程表PDF

連絡先

杉本キャンパス 教育推進課 基幹教育担当
TEL:06-6605-2935

担当教員

高 野 順平、秋山 康紀、渋谷 俊夫、東條 元昭、阪本 龍司、堀野 治彦、小泉 望、片岡 道彦、横井 修司、山地 亮一、加我 宏之、渡邉 義之、平井 規央、坂田 賢、岡澤 敦司

履修条件等

時間割

金曜日 10:45〜12:15 

開講期間

前期 

教室

B4-東K-401

キャンパス

中百舌鳥キャンパス

講 義 内 容

講 義 概 要

農学部の各学科におけるより専門的な領域への興味を深めるとともに、他の学科における学問との関連性を理解することを目的とする。そのため、農学とその基盤をなす自然科学における最近の具体的な研究やその成果の社会での利活用の現況を講義する。

到 達 目 標

以下の能力を身につけることを到達目標とする。
1.農学の各領域の歴史と重要性を説明できる。
2.農学の各領域の基礎となる自然科学的原理を説明できる。
3.農学の各領域の最新の研究やその成果の社会での利活用に興味を持って自ら調べることができる。

授 業 計 画

事前学習として、前もって授業支援システムで配布された資料について用語などを調べる。事後学習として、与えられた資料を読み返して復習するとともに、各担当教員の指示に従い講義内容に関したレポートを作成する。
第1回「作物・野菜・果樹・草花の品種作成のための育種学」 
環境や文化が変化すると栽培植物も変化する。訪れる変化を予測して対応できる作物を作るためには,社会のニーズを把握し,生物の多様性を知り,その能力を最大限に引き出したり,コントロールする工夫が必要である。本講義では,遺伝資源としての植物の多様性に焦点を当て,植物の持つ様々な能力を人類がどのように利用して発展させてきたのか(歴史),また,今後の持続可能な農業には,どのような遺伝資源をどのように利用していくべきか(将来像)を解説する。(横井修司)
第2回「植物栽培のための土・肥料と植物栄養学」
作物・野菜・果樹・草花など植物の生産基盤となる土壌がどのように生成し養分保持機能を持つのか解説する。また、現代農業に欠かせない肥料について解説する。化学肥料の製造と供給には多量のエネルギーを消費しており、リンのように資源量が限られ戦略物質とも呼ばれる肥料原料もある。肥料を節減し持続的な農業生産を実現するためには、植物が持つ栄養獲得・利用能力を分子レベルで理解し、応用することが必要である。そのような植物栄養学の方向性について解説する。(高野順平)
参考文献:1) 土壌学の基礎 (農文協)、2) リンのはなし (朝倉書店)
第3回「食料生産と農薬」
貧困と飢餓の撲滅、環境の持続可能性確保は、国際的な重要課題である。本講義では、これまで食料の生産と供給の基盤を支えてきた農薬に焦点をあて、その重要性と現状の課題を明らかにする。さらに、今どのような農薬の開発・研究が進められているかを解説することで、持続可能な人類の発展のために、21世紀の農学研究が切り拓く食料生産の未来像を考察する機会とする。(岡澤敦司)
参考文献:「農薬はど う教えられているか」 宮川 恒 京都大学農学研究科 日本農薬学会誌 42(1), 153‒158 (2017) DOI:  10.1584/jpestics.W17-30 ダウンロード可
第4回「新たな食糧生産技術として考える有機農業」
近年の有機農業は農薬や化学肥料を使用しない食糧生産活動という側面だけでなく、土壌劣化対策など持続的な生産技術としても注目されている。一方で一般消費者が受け取る有機農業の情報には誤解も見られる。本講義では、有機農業を食糧生産技術として俯瞰的に理解するために、有機農業のメカニズム、日本と海外での現状、これからの進展方向について解説する。(東條元昭)
参考文献:1) ハワードの有機農業 上下 (人間選書)、2) 植物病理学の基礎 (農文協)
第5回「世界の食とバイオテクノロジー」
25年以上前に実用化されたバイテク作物(いわゆる遺伝子組換え作物)は現在では世界の耕地の約13%を占めるまでに増加している。食料自給率の低い日本は多くの農作物を輸入しているがその半分以上はバイテク作物である。さらに最近はゲノム編集作物も登場した。どのような作物が世界のどこで栽培されているか、日本はどのような作物を自国で栽培しあるいは輸入に頼っているかを解説し、世界あるいは日本におけるバイテク農業の位置づけを講述する。(小泉望)
参考文献:遺伝子組換えは農業に何をもたらすか 椎名隆他 ミネルヴァ書房 2015  ISBN 978-4-623-0703-0
第6回「食品製造と農産加工」
安全性やおいしさ、健康機能など、食品への要求は増す一方であり、同時にその製造には環境への配慮や高効率化が強く望まれている。また、近年では地域農産物を使った食品開発や六次産業化などの地域振興が図られるなど、食品製造に求められる役割が広がっている。本講義では、食品産業の現状と動向、農産物および原材料の加工特性、食品製造の原理と技術、食品の安全と品質表示、製造工程の管理と改善および環境保全への取り組みについて講述する。(渡邉義之)
第7回「高齢化社会と機能性食品成分」
近年、日本を含む先進諸国では、メタボリックシンドローム以外に、高齢化の進行から生じたロコモティブシンドロームを予防・改善することで、健康寿命の延伸を目指している。食品化学の観点から考慮すると、食品成分には大きく3つの機能(栄養機能、感覚機能、生体調節機能)が存在し、恒常性の維持にこれらの機能を活用することに期待が寄せられている。本講義では、食品成分の健康寿命延伸における機能と食品産業における社会的役割を解説する。 (山地亮一)
参考文献:
1) 分子栄養学〜遺伝子の基礎からわかる 加藤久典(編集)、藤原葉子(編集)(羊土社)
2) LIFE SCIENCE(ライフサイエンス)長生きせざるをえない時代の生命科学講義 吉森保(著)(日経BP)
第8回「発酵・醸造食品と微生物」
人類は古くから微生物を利用して様々な発酵・醸造食品を製造してきた。これらは食品としてだけでなく、発酵文化・醸造文化と呼ばれるほどに人類に影響を及ぼしており、それぞれの地域の気候風土に適した微生物が利用されることで種々の食品が生み出されている。本講義では、カビ、酵母、細菌といった発酵・醸造に関わる微生物について紹介し、その代謝を利用した種々の発酵・醸造について概説する。(片岡道彦)
参考文献:
1) 応用微生物学第3版 横田他編 (文永堂)
2) 応用微生物学改訂版 村尾・荒井共編 (培風館)
第9回「微生物によるバイオマスからのエネルギー・化学品生産」
20世紀は石油に依存した大量生産、大量消費型社会であり、その結果として資源、エネルギー、環境など多くの問題が発生している。これらの諸問題を解決するためには石油依存を軽減し、再生可能な有機性物質であるバイオマスを基盤原料としたバイオリファイナリーへの転換が求められている。本講義では、微生物を利用した植物バイオマスからのエネルギー・化学品生産における最近の動向について概説する。(阪本龍司)
参考文献:
1)持続可能社会をつくるバイオプラスチック(化学同人)
2)バイオリファイナリー最前線(工業調査会)
第10回「天然物に由来する医農薬の利用と展望」
植物や微生 物の生産する有機化合物、すなわち天然物は構造多様性に富み、様々な生理・生物活性を示すものが多い。われわれ人類は古来よりそれら天然物を利用し、その恩恵に大きく与ってきた。本講義では、バイオテクノロジーを活用して実用化された天然物由来の農薬や医薬に焦点を当てて解説し、農学における天然生理活性物質の位置づけを理解させると共にその未来像を考察する機会とする。(秋山康紀)
参考文献:
1) 生き物たちの化学戦略―生物活性物質の探索と利用―(科学のとびら 58)  長澤 寛道 著 東京化学同人
2) 天然物の化学―魅力と展望―(科学のとびら 60)  上村大輔 著 東京化学同人
第11回「農業・農村の多面的機能と農業政策」
日本の農業・農村は、食糧生産を支えているだけでなく、国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承など様々な働きを持っている。このような農業・農村の多面的機能について概説するとともに、食料・農業・農村基本計画に見る日本の農業政策の動向を解説し、国土の保全と農業との関連を理解させる。(加我宏之)
参考文献:
1)農業・農村の多面的機能 (農林水産省)
2)令和5年度 食料・農業・農村白書 (農林水産省)
第12回「農業・農村と水循環」
地球上を循環する水が農業・農村の発展や国土保全・環境創造の社会的役割を担っている。農業・農村の生産基盤整備と利水や治水、水利施設について解説するとともに、地域の水循環系について持続的な水資源の保全と活用に関する課題と取り組みについて講述する。(堀野治彦)
参考文献:「地域環境水利学」:渡邉紹裕ら編,朝倉書店,2017,ISBN978-4-254-44502-2
第13回「農業生産と情報技術」
農業生産における高品質化と安定多収のための栽培管理など、農業の効率化を目指し、生産環境、作物生育や収量をモニタリング・制御する技する情報技術を最大限活用し、農業生産の省力化・精密化や高品質生産を支える農業形態及び生産環境基盤を実現するスマート農業の現状と到達点について講述する。(坂田賢)
参考文献:スマート農業の現場実装と未来の姿,野口 伸 監修,北海道協同組合通信社,ISBN:9784864530682
第14回「農業生産と環境調節」
植物の生育は,光や温湿度,CO2濃度などの物理環境の影響を大きく受ける。したがって、農業の生産性を高めるためには、植物と環境の相互作用を物理的な側面から理解し、それにもとづいて好適な生育環境を構築することが重要である。本講義では、施設園芸を中心として、農業生産における環境調節の理論と実際について解説するとともに、植物と環境の相互作用の評価方法について講述する。(渋谷俊夫)
第15回「農業・農村と自然環境」
国土の大部分は、農地や人工 林、草地等人の手が加えられて持続的に維持されている環境である。農業の営みは、人々にとって身近な自然環境を形成し、多様な生物が生息・生育するうえで重要な役割を果たしている。このような二次的自然には高い生 物多様性が維持されているが、その保全には、農業の在り方とその果たす役割が重要である。農業・農村の自然環境の現状と生産活動と生物との関わりについて理解させる。(平井規央)
参考文献:
1) 人と生態系のダイナミクス 1 農地・草地の歴史と未来(朝倉書店)
2) 「ただの虫」を無視しない農業(築地書館)
3) 生態学から見た里山の自然と保護(講談社)

評 価 方 法

到達目標(1.農学の各領域の歴史と重要性を説明できる、2.農学の各領域の基礎となる自然科学的原理を説明できる、3.農学の各領域の最新の研究やその成果の社会での利活用に興味を持って自ら調べることができる )の達成度をレポート (100%) によって評価する。基本的な内容を説明でき、各レポートの評価平均で60%以上を得た者を合格(C以上)とする。
【重要】各回のレポートにおける盗用・剽窃は不正行為として厳しく取り扱う。生成AIの利用については下記(履修上の注意)に従うこと。

授業の方法

対面

教 科 書

適宜資料を授業支援システムにて配布する。

参 考 書

各回の授業計画参照

備   考

【事前・事後学習の内容】
農学部における学修の基礎となり道標となる科目です。
授業時間だけでは講義内容を理解し、理解を定着させることは困難なので、授業の復習はもちろんのこと予習も必要です。「授業計画」と「準備学習」の欄を参考に、関連図書やホームページなどを調べて予備的な知識をもって講義に臨んで下さい。重要なポイントの復習は、講義内容を確実に身につけるために必ず行って下さい。

【履修上の注意】
・課題提出にあたっては締め切りを厳守すること。
・各課題の平均で評価するため、未提出 (0点) があると評価が著しく下がることに留意すること。
・欠席時はその回の担当教員にメール連絡し欠席理由を伝え、課題提出の可否や方法などの指示を受けること。
・生成AIを利用した場合は、利用したサービス、入力した情報、出力結果を別途明記すること。明記せず利用した蓋然性が高いと判断される場合や、出力結果を転記し若干の変更を加えた程度のレポートは、評価の対象としない。

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