分子科学は原子分子で構成される物質の構造と物性および反応性について系統的かつ定量的な理解を深めるための研究領域であり、構造物理化学は物質と光の相互作用を利用してミクロな構造を定め、それに基づいて物性や反応性を議論する分野である。その基礎データは宇宙空間に存在する原子分子イオンの研究から地球温暖化などの環境問題まで幅広く応用される。本講義では原子分子の成り立ちを量子化学の方法で理解したうえで分光学によって分子の状態や構造に関する情報が得られることを学ぶ、量子化学の応用編である。適宜、必要な数学の補足と演習を行い、技術的問題と物理的本質とをきちんと区別できるように心がける。予備知識は必要としないが、受講者は量子化学および線形代数学IとIIを履修していると理解が速い。
第1回 分子の対称性と点群 |
対称性による分子の分類とさまざまな点群。対称操作。 |
予習内容:教科書第12章・第1〜3節を読み、要点をまとめたうえで質問事項を整理して授業にのぞむ。(60分) |
復習内容:教科書第12章の例題及び関連する章末問題に解答する。(120分) |
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第2回 分子の対称性と点群 |
群の定義、指標表、規約表現。 |
予習内容:教科書第12章・第4〜6節を読み、要点をまとめたうえで質問事項を整理して授業にのぞむ。(60分) |
復習内容:教科書第12章の例題及び関連する章末問題に解答する。(120分) |
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第3回 分子の対称性と点群 |
多原子分子の基準振動モードの規約表現分解。 |
予習内容:教科書第12章・第7〜9節を読み、要点をまとめたうえで質問事項を整理して授業にのぞむ。(60分) |
復習内容:教科書第12章の例題及び関連する章末問題に解答する。(120分) |
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第4回 光と物質の相互作用 |
電磁波の種類と波長、エネルギー、波数。偏光特性。 |
予習内容:教科書第13章・第1節を読み、要点をまとめたうえで質問事項を整理して授業にのぞむ。(60分) |
復習内容:教科書第13章の例題及び関連する章末問題に解答する。(120分) |
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第5回 光と物質の相互作用 |
分子の励起エネルギーと電磁波のエネルギーの関係。 |
予習内容:教科書第13章・第1節を読み、要点をまとめたうえで質問事項を整理して授業にのぞむ。(60分) |
復習内容:教科書第13章の例題及び関連する章末問題に解答する。(120分) |
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第6回 光と物質の相互作用 |
吸収と発光。ランベルト・ベールの法則。 |
予習内容:教科書第13章・第11節を読み、要点をまとめたうえで質問事項を整理して授業にのぞむ。(60分) |
復習内容:教科書第13章の例題及び関連する章末問題に解答する。(120分) |
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第7回 分子分光学 |
マイクロ波分光:分子回転と結合距離。 |
予習内容:教科書第13章・第2〜4・8・12節を読み、要点をまとめたうえで質問事項を整理して授業にのぞむ。(60分) |
復習内容:教科書第13章の例題及び関連する章末問題に解答する。(120分) |
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第8回 分子分光学 |
赤外分光:分子振動と力の定数。 |
予習内容:教科書第13章・第5・9・10・13・14節を読み、要点をまとめたうえで質問事項を整理して授業にのぞむ。(60分) |
復習内容:教科書第13章の例題及び関連する章末問題に解答する。(120分) |
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第9回 分子分光学 |
紫外可視分光:電子遷移と分子構造の変化。 |
紫外線と分子のイオン化。X線と内殻励起。 |
予習内容:教科書第13章・第6・7節を読み、要点をまとめたうえで質問事項を整理して授業にのぞむ。(60分) |
復習内容:教科書第13章の例題及び関連する章末問題に解答する。(120分) |
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第10回 レーザー、レーザー分光、光化学 |
電子励起した分子がたどる道:励起過程と緩和過程。 |
予習内容:教科書第15章・第1・2節を読み、要点をまとめたうえで質問事項を整理して授業にのぞむ。(60分) |
復習内容:教科書第15章の例題及び関連する章末問題に解答する。(120分) |
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第11回 レーザー、レーザー分光、光化学 |
二準位系の考察:誘導吸収、誘導放出、自然放出。 |
予習内容:教科書第15章・第3節を読み、要点をまとめたうえで質問事項を整理して授業にのぞむ。(60分) |
復習内容:教科書第15章の例題及び関連する章末問題に解答する。(120分) |
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第12回 レーザー、レーザー分光、光化学 |
アインシュタインのA係数とB係数。 |
吸収線の線幅と寿命、不確定性原理。 |
予習内容:教科書第15章・第4〜8節を読み、要点をまとめたうえで質問事項を整理して授業にのぞむ。(60分) |
復習内容:教科書第15章の例題及び関連する章末問題に解答する。(120分) |
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第13回 固体および表面の化学 |
結晶構造:並進対称性と単位格子。 |
固体のX線回折:ブラッグ反射とミラー指数。 |
予習内容:参考文献第31章・第1〜5節を読み、要点をまとめたうえで質問事項を整理して授業にのぞむ。(60分) |
復習内容:参考文献第31章の例題及び関連する章末問題に解答する。(120分) |
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第14回 固体および表面の化学 |
表面吸着:化学吸着と物理吸着、ラングミュアの吸着等温式。 |
予習内容:参考文献第31章・第6〜8節を読み、要点をまとめたうえで質問事項を整理して授業にのぞむ。(60分) |
復習内容:参考文献第31章の例題及び関連する章末問題に解答する。(120分) |
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第15回 固体および表面の化学 |
ナノ構造:結晶のドメインと磁性、分子集合体。 |
予習内容:参考文献第31章・第9・10節を読み、要点をまとめたうえで質問事項を整理して授業にのぞむ。(60分) |
復習内容:参考文献第31章の例題及び関連する章末問題に解答する。(120分) |
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定期試験 |
教科書の第12章から第15章のうち講義で説明した内容の出題による試験を実施する。 |
該当ページの本文と例題を理解し、章末問題と関連問題を解けるように準備しておくこと。 |