第1回 オリエンテーション―文化政策が必要とされる時代とは |
授業の進め方について説明した後、「文化政策」が現代世界で大変重要視されていることについて考える。 |
予習内容:「教育」という言葉の意味について、辞書やインターネットなどを合わせて予習しておく。博物館学課程や司書課程、さらに文化デザイン学科以外で教職課程を履修している学生は、その授業で学んだことを思い出しておいてください。(60分) |
復習内容:「文化」という言葉の意味について、辞書やインターネットなどを合わせて復習しておく。(60分) |
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第2回 「教育」と「文化」はどう違うのか(1)―博物館・美術館、図書館に関する政策は「文化政策」か?「劇場」は「教育政策」か? |
博物館・美術館(ミュージアム)と図書館は「社会教育施設」とされています(ミュージアムには例外がありますが)。そしてこれらの施設を扱うときは「文化政策」とされてきませんでした。 |
一方で、「国立文楽劇場」や「文化財保護」の業務(そしてそれと結びつくミュージアムの一部)などは、社会教育施設ではなく「文化政策」なのです。 |
これはどのような違いによるのでしょうか?この回では、所轄官庁の違い(文部科学省、文化庁、それ以外の官庁)という点から、考えてみます。 |
予習内容:「学ぶ」とはどのようなことなのかを、自分の体験も合わせて考えてみる。(60分) |
復習内容:「文部科学省」と「文化庁」、そしてそれ以外の官庁の違いについて復習する。(60分) |
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第3回 「教育」と「文化」はどう違うのか(2)―思想的考察 |
「教育」とはどのようなことか、それは「文化政策」とどのように違うのかを、「商品経済社会における労働力の再生産」という観点から考察します。これは就職活動などにも重要な考え方です。 |
予習内容:「国家」という単語、そして「クニ」「くに」「国」(「国家」ではない)という単語の意味を辞書で引いて確かめておく。(60分) |
復習内容:「商品」とは何か、「労働力」とは何なのかを、自分の体験も合わせて復讐しておく。(60分) |
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第4回 「文化」と「政治」のかかわりは何なのか?―「クニ」「国家」と「文化」「教育」の関係 |
「日本」という場合と「日本国」という場合では、大変な意味の違いになるケースがあります。これは「国家」というものと「文化」というものの結びつきがどのようなものであるかを考えさせます。この時間はそうした問題を扱います。とくに重要になるのは「ナショナリズム」(民族主義)という概念です。 |
予習内容:日本政府の政策である「クールジャパン」(USJのものではありません)、および「コンテンツ政策」について簡単に調べておく。(60分) |
復習内容:「ナショナリズム」という概念と、自らの「国民」「民族」イメージの違いについて、辞書やインターネットを合わせて復習しておく。(60分) |
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第5回 現代世界の「便宜的な」文化―経済重視と伝統重視、そして新たな世界を作ろうとする試みのはざまで |
現代世界では、文化が「便宜的」に使われる局面がますます高まっています。具体的には、文化を経済に直接役立てようとする動きです。しかし、当然ながら文化には「伝統」という意味もありますから、経済と伝統のせめぎあいが起こります。これが具体的に表れるのが「クールジャパン政策」(USJのクールジャパンではありません)です。このような政策は「コンテンツ政策」と言われ、もともとイギリスに端を発し、韓国で大々的に行われ、そして日本に入ってきました。この問題を考えます。 |
予習内容:「ナショナリズム」という言葉の意味を復習しておく。(60分) |
復習内容:「コンテンツ」とは何なのかを復習しておく。(60分) |
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第6回 世界の文化政策1―ナショナリズムとのかかわり |
世界の文化政策は、独立国の増加と、国づくりのための文化政策によって作られてきました。それらについて考えます。 |
予習内容:UNESCOについて、国連や文部科学省のホームページなどによって知識を深めておく。(60分) |
復習内容:「植民地」とは何か、「独立国」とは何かということを、辞書やインターネットなどを合わせて復習しておく。(60分) |
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第7回 世界の文化政策2―UNESCOとその政策 |
世界的に有名な「文化遺産」は、国際連合教育科学文化機関(UNESCO)の所轄下にあります。UNESCOはこれらの活動によって、現代世界に大きな影響を及ぼしています。それらについて考察します。 |
予習内容:明治という時代について、授業中に紹介する資料を通じて予備知識を得ておく。(60分) |
復習内容:UNESCOの理念と実際の違いについて、授業内容や国連・文部科学省ホームページを合わせて復習しておく。(60分) |
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第8回 日本の文化政策史1―第2次世界大戦まで |
明治時代から第2次世界大戦までの日本の文化政策を考察します。 |
なお、日本の文化政策の歴史はとくに「教育」とのせめぎあいが強いので、個々の回の復習以外にも、たえず第2回・第3回の授業内容を思い出しておいてください。 |
予習内容:戦前と戦後の違いについて授業で資料を紹介するので、それを見て予備知識を得ておく。(60分) |
復習内容:「明治」という時代状況について、自らが持っていたイメージとのずれを重点的に復習しておく。(60分) |
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第9回 日本の文化政策史2―第2次大戦後、1990年まで |
検閲制度などがなくなり、大きく変化した日本の文化政策について考察する。 |
予習内容:文部科学省と文化庁のホームページを授業中に指定するので、該当箇所を見て予備知識を得ておく。(60分) |
復習内容:戦後という時代の「文化国家」概念と実際の施策のずれについて、重点的に復習しておく。(60分) |
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第10回 日本の文化政策史3―1990年以降現在まで |
1990年以降、日本の文化政策は舞台芸術の重視・限定的な多文化化によって大きく変化した。それらについて考察する。 |
予習内容:文部科学省と文化庁のホームページを授業中に指定するので、予備知識を得ておく。(60分) |
復習内容:日本国内には「日本人の文化」以外にどのようなものがあるのかを、授業中に紹介した資料を通じて復習しておく。(60分) |
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第11回 現代日本の文化政策1―文部科学省・文化庁系の文化政策 |
この回からは、省庁の所轄別に日本の文化政策を考察する。まずは文化庁などの政策である。 |
予習内容:経済産業省と防衛省のホームページを授業中に指定するので、それを見て予備知識を得ておく。(60分) |
復習内容:ホームページなどの公式情報と実態がどのようにかけ離れているかを、授業で紹介した資料も合わせて復習しておく。(60分) |
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第12回 現代日本の文化政策2―経済産業省系・防衛省系の文化政策 |
経済産業省系の政策で有名なのが「クール・ジャパン」である。また防衛省も、さまざまな映画・アニメを支援し、重要な文化政策の主体となっている。それらの問題について考察する。 |
予習内容:国際交流基金などのホームページを授業中に指定するので、それを見て予備知識を得ておく。(60分) |
復習内容:公式ホームページなどの「クール・ジャパン」について、知識と実態がどのように重なり、かけ離れているかを授業中に紹介した資料を合わせて復習しておく。(60分) |
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第13回 現代日本の文化政策3―外務省・観光庁系などの文化政策 |
ここでは、海外などに日本の文化を伝える外務省系(国際交流基金はここに入る)、観光庁系などの政策について考察する。 |
予習内容:授業中に指定した自治体の文化政策ホームページを見て、予備知識を得ておく。(60分) |
復習内容:海外に紹介される「日本」のイメージについて、授業中に紹介した資料も合わせて復習しておく。(60分) |
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第14回 現代日本の文化政策4―地方自治体の文化政策 |
地方自治体の文化政策について概説する。ただし具体的な展開は「地方創生論」で扱う。 |
予習内容:第1回・第2回授業で行った「社会」概念と「文化」概念について復習しておく。(60分) |
復習内容:地方自治体の公式情報と実態がどのようにかけ離れているかを、授業中に紹介した資料を合わせて復習しておく。(60分) |
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第15回 まとめ―現代世界・現代社会の文化政策の役割 |
現代世界・現代社会において文化政策がどのような役割を果たしているかについて考察する。 |
予習内容:自らが関心を持った授業内容について、期末レポートを準備する。(60分) |
復習内容:「社会的なるもの」と「文化的なるもの」がどのように関連しているかを、十分に考える。(60分) |
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