受講者は、この授業を履修することによって、平安時代の政治と文化に関する基礎的な知識を得るとともに、『日本後紀』などの文献史料や、古代の史跡・文化財に親しむことができるようになります。
第1回 平安時代史概説 |
桓武天皇の人物像、諡号「桓武」の意味、桓武朝の政治史について概略を説明する。 |
予習内容:高校教科書の平安初期の記述を読み直しておく。(60分) |
復習内容:配付資料を読み直して平安初期の政治史について理解を深める。(60分) |
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第2回 光仁天皇の即位と山部親王の立太子 |
道鏡を寵愛した称徳天皇が皇太子を定めずに死去した後、光仁天皇が擁立され、他戸親王の廃太子を経て山部親王が立太子されるまでの経緯を説明する。 |
予習内容:奈良県五條市の史跡と文化財について、インターネットなどで調べておく。(60分) |
復習内容:配付資料を読み直し、光仁天皇と山部親王の擁立について理解を深める。(60分) |
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第3回 桓武天皇と革命思想 |
天皇の生母は皇族か貴族であった当時において、百済系渡来氏族出身の高野新笠を母に持つ桓武天皇は、権威が弱かった。そこで彼は中国の革命思想を利用して自己の即位を正当化しようとする。辛酉革命説の利用と郊祀の実施から、桓武天皇の革命思想について考える。 |
予習内容:「革命」の意味について、辞典などで調べておく。(60分) |
復習内容:配付資料を読み直し、桓武天皇の革命思想について理解を深める。(60分) |
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第4回 桓武天皇の外戚(1)―和史氏と百済王氏― |
桓武天皇の生母高野新笠は、百済系渡来氏族の和史氏の出身であった。和史氏は実務官僚であったが、桓武天皇は和史氏を百済王氏と同じ百済の王族に仕立て上げ、自らを権威づけようとした。桓武天皇と百済王氏の親密な関係を考察する。 |
予習内容:百済王氏の氏寺であった枚方市の百済寺跡について、インターネットなどで調べておく。(60分) |
復習内容:配付資料を読み直し、百済王氏について理解を深める。(60分) |
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第5回 桓武天皇の外戚(2)―土師氏― |
高野新笠の母、つまり桓武天皇の外祖母は土師真妹で、土師氏はかつて埴輪を作っていた氏族であった。桓武天皇は即位とともに土師氏を優遇し、菅原氏・秋篠氏・大枝氏に改姓させた。やがて学者の家系となる彼らと桓武天皇との関係を考察する。 |
予習内容:藤井寺市HPで「土師の里」について調べておく。(60分) |
復習内容:配付資料を読み直し、土師氏について理解を深める。(60分) |
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第6回 長岡遷都 |
桓武天皇が平城京から長岡京へ遷都した理由と、公表からわずか半年で遷都を実施できた理由、そして長岡遷都に見られる当時の桓武天皇の限界について説明する。 |
予習内容:長岡京について、書籍・インターネットなどで調べておく。(60分) |
復習内容:配付資料を読み直し、長岡京について理解を深める。(60分) |
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第7回 早良親王と藤原種継暗殺事件 |
長岡京の造営の最中に、その責任者であった藤原種継が暗殺された。関与を疑われた皇太子早良親王はその地位を追われ、淡路配流の途中で絶命する。種継の暗殺事件がなぜ起きたのかを考察する。 |
予習内容:早良親王・藤原種継について、書籍・インターネットなどで調べておく。(60分) |
復習内容:配付資料を読み直し、早良親王・藤原種継について理解を深める。(60分) |
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第8回 早良親王の祟り |
早良親王が死去してから数年後、桓武天皇の身辺では、生母や后妃が相次いで亡くなり、早良親王に代わって皇太子となった安殿親王が発病する。桓武天皇がそれを早良親王の祟りと認識し、長岡京の廃止を決定するまでの過程をたどる。 |
予習内容:長岡京廃止の理由について、書籍・インターネットなどで調べておく。(60分) |
復習内容:配付資料を読み直し、早良親王の祟りについて理解を深める。(60分) |
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第9回 平安遷都と征夷 |
794年、桓武天皇は平安京への遷都を実施するが、革命思想に基づく長岡遷都と異なり、二度目の遷都には正当性が薄かった。桓武天皇が二度目の遷都をどのように演出し、正当化したのか、征夷との関連から考える。 |
予習内容:平安京および平安遷都について、書籍・インターネットなどで調べておく。(60分) |
復習内容:配付資料を読み直し、平安遷都について理解を深める。(60分) |
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第10回 田村麻呂と阿弖流為 |
坂上田村麻呂は、降伏した蝦夷の族長阿弖流為を都に連れて行き、彼の助命を主張するが、公卿の反対に遭い、阿弖流為は処刑される。田村麻呂が阿弖流為の助命を求めた理由と、処刑の理由を考える。 |
予習内容:坂上田村麻呂と阿弖流為について、書籍・インターネットなどで調べておく。(60分) |
復習内容:配付資料を読み直し、坂上田村麻呂と阿弖流為について理解を深める。(60分) |
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第11回 徳政相論 |
藤原緒嗣と菅野真道が、征夷と造都を続けるか否かを巡って議論した徳政相論については、両者による真剣勝負とみる説と、桓武天皇によって筋書きが作られた芝居であったとする説がある。そのどちらが正しいのかを、確実な史料に基づいて考える。 |
予習内容:徳政相論について、書籍・インターネットなどで調べておく。(60分) |
復習内容:配付資料を読み直し、徳政相論について理解を深める。(60分) |
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第12回 薬子の変 |
平城太上天皇と嵯峨天皇が対立した薬子の変はなぜ起きたのか、どのような経過を経て、後世にいかなる影響を与えたのかを、史料に基づいて考える。 |
予習内容:平城天皇と薬子の変について、書籍などで調べておく。(60分) |
復習内容:配付資料を読み直し、薬子の変について理解を深める。(60分) |
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第13回 天皇と太上天皇 |
日本律令では、譲位した天皇は太上天皇となり、天皇とほぼ同等の権限を持つが、薬子の変の一因もこの制度にあった。薬子の変を勝ち抜いた嵯峨天皇が、自らの譲位の際に、天皇と太上天皇との関係をどのように改めたのかを考察する。 |
予習内容:太上天皇(上皇)について、辞典などで調べておく。(60分) |
復習内容:配付資料を読み直し、太上天皇について理解を深める。(60分) |
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第14回 女帝と幼帝 |
奈良時代までは女帝が多く、幼帝は決して即位しないが、平安時代になると幼帝が普通になり、女帝は即位しなくなる。このことの意味を、天皇をめぐる奈良・平安時代の変化を踏まえつつ考察する。 |
予習内容:女帝と幼帝について、書籍・インターネットなどで調べておく。(60分) |
復習内容:配付資料を読み直し、女帝と幼帝について理解を深める。(60分) |
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第15回 女御と更衣 |
奈良時代の天皇の后妃は、概して少なかったとみられるが、桓武天皇以後の平安時代には、后妃の人数が激増する。后妃激増の理由と、それに伴って成立した女御と更衣、そしてそれが後世に与えた影響について考察する。 |
予習内容:女御・更衣について辞典などで調べておく。(60分) |
復習内容:配付資料を読み直し、女御・更衣について理解を深める。(60分) |