日常生活の中で,私たちは自分自身が犯罪行為に加担することを想像するのは難しいだろう。しかしながら,少し状況が変わると私たちも他者を直接的,あるいは間接的に害することがあるかもしれない。本講義では,「犯罪の個人差」と「集団と犯罪」を主なテーマとして,ある特定の人間によってのみ犯罪は引き起こされるものではなく,誰しもが関与する可能性があることを論じていく。
なお,犯罪心理学も司法・犯罪心理学と同様に,個々の事件に対する解説を行うものではないことに注意してほしい。講義の中で紹介する知見は全て実験や調査を通じて得られた実証データに基づくものである。
| 第1回 オリエンテーション |
| 本講義の目的や成績評価などについて話を進める。 |
| 予習内容:シラバスを熟読する。(60分) |
| 復習内容:授業ノートを読み返す。(60分) |
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| 第2回 犯罪行為の個人差:低自己統制(1) |
| 低自己統制の定義や理論背景について概観する。 |
| 予習内容:『犯罪学(第5版)―理論的背景と帰結』 (J・ロバート・リリー/フランシス・T・カレン/リチャード・A・ボール, 金剛出版 : 2013)の「第6章 統制の複雑さ―Hirschiの二つの理論とその後」を熟読する。(60分) |
| 復習内容:配布資料を読み返す。(90分) |
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| 第3回 犯罪行為の個人差:低自己統制(2) |
| 低自己統制が犯罪に及ぼす影響について概観する。 |
| 予習内容:『犯罪学(第5版)―理論的背景と帰結』 (J・ロバート・リリー/フランシス・T・カレン/リチャード・A・ボール, 金剛出版 : 2013)の「第6章 統制の複雑さ―Hirschiの二つの理論とその後」を熟読する。(60分) |
| 復習内容:配布資料を読み返す。(90分) |
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| 第4回 犯罪行為の個人差:低自己統制(3) |
| 低自己統制の長期的影響について概観する。 |
| 予習内容:『犯罪学(第5版)―理論的背景と帰結』 (J・ロバート・リリー/フランシス・T・カレン/リチャード・A・ボール, 金剛出版 : 2013)の「第6章 統制の複雑さ―Hirschiの二つの理論とその後」を熟読する。(60分) |
| 復習内容:配布資料を読み返す。(90分) |
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| 第5回 犯罪行為の個人差:社会的情報処理モデル(1) |
| 社会的情報処理モデルの概要について解説する。 |
| 予習内容:『ゆがんだ認知が生み出す反社会的行動: その予防と改善の可能性』 (吉澤 寛之, 北大路書房 : 2015)を熟読する。(60分) |
| 復習内容:配布資料を読み返す。(90分) |
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| 第6回 犯罪行為の個人差:社会的情報処理モデル(2) |
| 社会的情報処理モデルの観点から犯罪がどのように生じるのか概観する。 |
| 予習内容:『ゆがんだ認知が生み出す反社会的行動: その予防と改善の可能性』 (吉澤 寛之, 北大路書房 : 2015)を熟読する。(60分) |
| 復習内容:配布資料を読み返す。(90分) |
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| 第7回 集団と犯罪:逸脱訓練 |
| Dishionが提唱した逸脱訓練から非行の発生過程について解説する。 |
| 予習内容:『紛争・暴力・公正の心理学』 (北大路書房 : 2016)の第21章「非行集団と暴力犯罪」を熟読する。(60分) |
| 復習内容:配布資料を読み返す。(90分) |
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| 第8回 集団と犯罪:少年ギャング集団への加入と非行 - Thornberry(1993)による追跡調査 |
| Thornberryが実施した追跡調査について概観する。 |
| 予習内容:『紛争・暴力・公正の心理学』 (北大路書房 : 2016)の第21章「非行集団と暴力犯罪」を熟読する。(60分) |
| 復習内容:配布資料を読み返す。(90分) |
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| 第9回 集団と犯罪:集団非行の心理過程(1) |
| 社会的アイデンティティ理論の観点から集団非行の過程を解説する。 |
| 予習内容:『社会的アイデンティティ理論―新しい社会心理学体系化のための一般理論』 (M.A.I ホッグ, 北大路書房 : 1995)を熟読する。(60分) |
| 復習内容:配布資料を読み返す。(90分) |
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| 第10回 集団と犯罪:集団非行の心理過程(2) |
| 評価管理の観点から,集団非行が目的ではなく手段であるということを解説する。 |
| 予習内容:『社会的アイデンティティ理論―新しい社会心理学体系化のための一般理論』 (M.A.I ホッグ, 北大路書房 : 1995)を熟読する。(60分) |
| 復習内容:配布資料を読み返す。(90分) |
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| 第11回 集団と犯罪:なぜ非行集団に同一化するのか |
| 非行集団を取り巻く同級生や教師,地域住民との集団間関係に焦点を当て,非行集団に同一化する過程を解説する。 |
| 予習内容:『社会的アイデンティティ理論―新しい社会心理学体系化のための一般理論』 (M.A.I ホッグ, 北大路書房 : 1995)を熟読する。(60分) |
| 復習内容:配布資料を読み返す。(90分) |
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| 第12回 企業による犯罪はなぜ起こるのか:組織的緊張理論 |
| 組織的緊張理論の観点から企業犯罪が生じる過程を概観する。 |
| 予習内容:『組織性逸脱行為過程―社会心理学視点から』 (本間 道子, 多賀出版 : 2007)を熟読する。(60分) |
| 復習内容:配布資料を読み返す。(90分) |
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| 第13回 企業による犯罪はなぜ起こるのか:自己統制とサイコパシー |
| 個々の社員の特性,すなわち自己統制とサイコパシーの観点から,企業犯罪が生じる過程を概観する。 |
| 予習内容:『組織性逸脱行為過程―社会心理学視点から』 (本間 道子, 多賀出版 : 2007)を熟読する。(60分) |
| 復習内容:配布資料を読み返す。(90分) |
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| 第14回 組織体犯罪をいかに食い止めるか:内部申告とその規定因 |
| 内部申告に関する実験研究を解説する。さらに,内部申告に伴う現実的な問題点についても併せて解説する。 |
| 予習内容:『内部告発のマネジメント―コンプライアンスの社会技術 (組織の社会技術4)』 (岡本 浩一, 新曜社 : 2006)を熟読する。(60分) |
| 復習内容:配布資料を読み返す。(90分) |
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| 第15回 総括 |
| 本講義のまとめを行う。 |
| 予習内容:これまでの資料を読み返す。(60分) |
| 復習内容:これまでの資料を読み返す。(90分) |
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| 定期試験 |
| 持ち込みなしの定期試験を実施する。 |
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なお、本科目では心理学研究参加システム(Psychological Research Participation System: PRPS)による研究への参加点(10点を上限)を加味して、最終成績とする。
計算式は以下の通りとする。
試験・課題提出による成績:X
PRPSによる参加点:Y
最終成績:(X+Y)/(100+Y)×100